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Make Green More
         ――新年号特別編

インタビュー
川田悦子さん

一人で奮闘したこの一年―

いのち、結、そして緑

 新年号の特別インタビューは、国会で孤軍奮闘し、問題あればすぐ現場に駆けつける川田悦子さんに登場いただきます。「いのち」「人権」を掲げて東奔西走した議員生活の1年を振り返っていただきながら、新たに立ち上げた緑の政策研究会・結―YUI―の発足と今後の活動について、抱負をうかがいました。
(インタビュー:朝日健太郎/文責:戸沢行夫)

 ――議員になられて1年数ヵ月。これで3度目の国会を経験されたことになりますが、国会で感じたことなどをお聴かせください。

 地方議会の経験があったり、政党に属していれば楽だったかもしれませんが、素人が突然国会議員になったので大変でした。猪突猛進型だったからやってこられたかもしれませんね。素人だから、前例など分からない。つまり、分からなかったことが必ずしもマイナスではなかった面がありました。そして、新しい政治をつくっていくには、これが重要なのだと思いますね。
 議会のイロハや知識が不足していて、皆さんの期待に応えることができないのではないかと焦ったときもありましたが、ここまで一人で頑張ってやってきたことで、強くなったような気がしますね。
 しっかりと自己主張する個人がいるということが大切だと思います。自己の利益のための自分本位の主張ではダメです。
 この状況において、日本にとっていま、大事なことは、“いのち”を守り抜く政治をつくっていくことです。政治の場においては、憲法9条をなんとしても守り抜くことです。大きな国や大きな政党が「戦争だ!」「参戦だ!」と叫んでも乗らないことです。
 一人ひとりの国会議員が自分というものをしっかり持って対峙していかなくてはならないと思います。私は国会ではいま、無所属ということで一人ですが、私の周りにはいろんな人びとが集まって来ていますから、そうした人びとの力をお借りして、プラスに活かしていくかを考えています。また、政治家が官僚に操作され、支配されていることはありますが、良い仕事をしようとする官僚もゼロではないのでしょうから、そういう人たちを見つけ、手をつないで力を大きくしていきたいと思っています。

おかしいものはおかしい

 ――議場ではとうとうヤジも飛ばすようになったとか

 最初の国会であの「水まき事件」(保守党・松浪健四郎議員が本会議の発言の途中、ヤジに怒ってコップの水を前列の議員にぶちまけた事件)があって、そのあまりのひどさに呆れ、私だけはヤジを絶対飛ばすまいと思ったのですが、この間の狂牛病をめぐる農水省の対応のひどさについにヤジを飛ばしたんですね。発言機会のない人や限られた短い質問時間しか与えられない私にとって〈効果的ヤジ〉もあると思うようになったし、だらけた質問に緊張感を与えるということでもヤジは必要かもしれませんね。
 ヤジもけっこう難しいんですね。タイミングもあるんですけど、効果的に短くやるには、鋭い問題意識とセンスがいるんです。結構高度なテクニックが必要なんですヨ。(笑)

 ――一人だけ反対という法案もあったようですが。

 勉強していれば反対する法案はもっと多かったかもしれません。提出された法案は一見よさそうでも、「おかしいナー」とよく調べてみると背景に別の意図があったりする。出される法案の多くはいまの政府与党の政治のねらいに沿ったもので、それをきちんと見抜いていく必要があるんです。向こうはちょっとずつ「一部改正」という形で提出してくるわけですが、法案の全体系を見定めるとやはり納得はできない。それで、結果的に私が法案に一番反対していた、というわけです。共産党と私、社民党と私、自由党と私、そして私だけ反対といろいろな組み合わせがあったのですが、結局「反対」は私が一番多かったですね。
 法案のなかの議員立法は知り合いの議員が提案しているので、反対しにくいのですが、「おかいしものはおかしい」とキッパリ決断するようにしています。「規制緩和」についても、これに反対すると民営化に逆行するなどとよくいわれます。確かに、不必要なものは廃止すべきですが、いまの規制緩和は「儲かるか儲からないか」という弱者切り捨ての論理ですし、さらにいえば、新しい天下り先をつくるようなものでは問題の解決にならないと思います。

 ――一人や少人数での反対はマスコミも報道しませんから、川田さんの真意はなかなか表にみえませんネ。

 そうなんです。マスコミは法案の中身や経過を説明することなく、法案が通った後に、これこれが通ったと報道するだけです。これが良くない。
 先日の児童福祉法の一部改正では、育休改正案修正の取引材料とされ、セットで出てきて一瞬のうちに通ってしまいました。目に余るベビーホテルなどの許可外児童福祉施設への監督を強化し、従わなかった場合は公表し、施設の閉鎖を命じることができるという点では評価できるのですが、株式会社などの保育事業への参入促進が改正の目的です。保育所の創設・運営に「コスト論」の企業原理が持ち込まれ、保育労働の労働条件を劣悪化させるもので、子どもの立場からとても容認できるものではありません。
 この「規制緩和」についても、マスコミはきちんと報道していません。その責任は大きいと思います。

助け合い〈結〉のこころ

 ――ところで川田さんは「緑の政策研究会・結―YUI―」を発足されたわけですが、3ヵ月経って、その意義とか、思いとか、感想をお聞かせ願えますか?

 ご存知のように、月1回の勉強会をやっていますが、国会の法案審議などとも関連し、私個人としては大いに役立っています。これからは〈結〉に集まってきている人たちとお互いに共通認識をもって、新しい政治、政治集団になっていくことが大事だと思います。
 この間、日本の経済・財政、農業などについて勉強してきたのですが、そこで感じたのは、この〈結〉を通して「今後はどうあるべきか」という政策提言ができるようになれば、ということですね。
 それから、〈結〉の名称について少し話させて下さい。 国は人があってはじめて成り立つのに、いま人びとの暮らしや生命はどうでもいいという政治が行われている。そこを根本から変えたいという気持ちがあります。個人であれ、会社であれ、助け合いや結びつきがないと、競争社会のなかで人びとはすさんできます。人は1人では生きていけないのだから、いろいろな人びとが、それぞれの多様性を認め助け合っていくことが大事です。
 私たち人間はそもそもいろんな人がいて助け合って生きてきた。四季折々、忙しいときには「結返し」や「結っこ」をしてきた。いま〈地域通貨〉についてよくいわれますが、そうした地域の相互扶助は昔からあったんです。たとえば、人びとはフェミニズムや男女平等というコトバや理論を知らなくても、かつてはそれを実践していました。ところが、いま、それは奪われてしまった。奪われたもの、失ったものを取り戻す必要があります。

政策基盤をきっちりと

 ――最後に今年の抱負を。やりたいことはどんなことでしょうか?

私はこれまで生命が大事だと訴えてきました。
 いま子どもたちが虐待されています。この日本をどうするかということは、子どもたちが国をどう見ているかということにかかっています。そこに国の未来がある。ところが、いま、大人たちは子どもをおろそかにしている。
 アジア、アフリカではエイズが蔓延していますが、そこでは子どもたちのいのちを救うために大人たちは自己犠牲を払っても守ろうとしている。それに比して、日本では大人たちは自分たちのことしか考えていない。訴えるコトバを持たない子どもたちは自殺したり、ひっそりと死んでいるのが現実。物はあふれているけど、本当に大切なものは失われているんです。
 アメリカのおかげでここまで発展したからといって、何でもアメリカに追随する必要などありません。自分たちの国は自分たちで創る、という気持ちが必要。おかしいことはおかしいと大人たちが発言していくことが子どもたちの未来のためにも大事だろうと思います。
 私は、国会ではただ1人ですが、周りには多くの人びとがいます。政界再編についても、私たちは勉強し、キッチリとした理念を掲げ、国会内の再編劇に巻き込まれないように土台をシッカリと固め、そして地域で活動している人びとと連携していきたいと思っています。
 その意味でも〈結〉を存分に活かして、政策基盤をきちんと築いていきたいですね。


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